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「仏教徒 坂本龍馬」 ―日本人にとっての宗教― [映画・TV・本]

  
平成24年9月2日(日)月歴7月16日 2011年Blog
  
仏教徒 坂本龍馬.jpg
長松清潤「仏教徒 坂本龍馬」を読み終えてから数日経つ。

歴史を紐解く(Blog)でも書いたが、「仏教徒 坂本龍馬」は
幕末から明治にかけ、坂本龍馬の歴史に埋もれた「閑愁録」で
唱える、仏教を国の根本とする考え方を示しながら、仏教を
いま一度見直そうとしている。

坂本龍馬の海援隊は出版事業として「閑愁録」、「和英通韻
以呂波便覧」、「藩論」の三つがあるのだが、これらの多くは
歴史から埋もれてきた。

それは「閑愁録」には「仏法が国家を護るために大いなる
威力を具え、大いなる活きた法となる」と書かれている事が
明治維新後の政府が平田篤胤が唱えた復古神道を利用し
強権的に推進され中で、仏教を中心にすえる「閑愁録」は
神道と相反すると、歴史から葬りさられてしまったのだ。

その結果廃仏毀釈wilipediaが起こり、多くの仏教施設が
破壊されてしまったのだ。

ただ筆者は仏教徒であるために、明治政府のとった政策や
廃仏毀釈を非難し、暗に国家神道を推し進めたことが結果
大戦で負けるまでの日本につながると批判しているのだ。

だが、僕にはどうも腑に落ちない。

筆者はキリスト教やイスラム教などの一神教が、他を排他し
危険な裏側があるとし、キリスト教の聖書には戦争容認して
戦争を開始するよう書かれていると指摘している。p161

僕もこれに異論ない。キリスト教やイスラム教による世界中
戦争はいまでも枚挙のいとまがない。911もその例だ。

だが神道はどうだろう?僕は明治から昭和にかけて日本の
歩んだ道が間違いだから、神道も間違いとは思えないのだ。

そもそもこの大戦が間違いとは、僕はいま思っていないのだ。
(来週、藤原正彦「日本人の誇り」で書きたいと思っている。)

坂本龍馬は「閑愁録」で「仏法が国家を護るために大いなる
威力を具え」と書いているが、僕にはそうは思えないのだ。

明治維新で政府が先導した国家神道を中心にした考え方は
富国強兵を推し西洋列強に追いつく原動力になったと思うのだ。
仏法を国の中心にしては、急速な国家推進になり得なかった。
そう思うのだ。

仏教は素晴らしい。僕も仏教徒だという事をやっと最近自認し
毎日仏壇に線香をともし、先祖へのお祈りは欠かさない。
心の救いを求めて ― 仏教と仏像 ― 日記2244

しかし、幕末から明治にかけては神道が必要だったのだ。

それに、神道は八百万の神さまだ。どこの神社でもいろいろ
神様がいて、その都度僕らはその神様にお祈りをする。

神道は一神教ではない。だからいいのだと思うのだ。
だからと言って、この神様が良い!と他を圧する事もない。

僕は日本の宗教を考えるときに、どうしてこうも神様も仏様も
一緒くたにお祈りするのだろう。どうしたものかと思ってきた。

しかし古事記を読み(古事記を読もうBlog)、先祖を知る事で
僕は心に安心感を得る事が出来きて、落ち着いたのだ。

そして今回「仏教徒坂本龍馬」を読んで、筆者の思惑とは逆に
日本には神道も仏教も同時に必要だったのだと分かったのだ。

坂本龍馬は柔軟な人だ。もし龍馬がいま生きていれば日本に
仏教も神道も同じように必要だと分かってくれると思うのだ。


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コメント 7

song4u

こんにちは。
今日の話題は重いなあ。
宗教って、ぼくたち戦後生まれの日本人には、かなりハードルが高い。
そんな風に感じておりますよ。

個人的なイメージを、誤解を恐れずに言うと・・・
・実態がよく分からない存在
であり、だからこそ
・自分にとって必要なのかどうかもよく分からない

これは前にも申し上げたかもしれませんが、ぼくの友人に面白いことを
言うヤツがいて、そいつが言うには・・・
・宗教は当該人を幸福にするが、周りの人を不幸にする

更に言えば、上の記事にもあるとおり、自分の宗教以外の神さまを排他的に
考えている宗教があるなど、ぼくには到底理解ができません。
そんな宗教にのめり込んだら、不幸な結末が待っているに違いありません。

少なくとも自分の経験値に照らして、今、この場で言えることは、
58年半生きて来て、生きて行く上で、宗教が絶対的に必須だと感じたことは
残念ながら一度も無いということです。
ぼくは菩提寺を持っている、れっきとした仏教徒の一人であるはずなのですが、
そのぼくにして、実態を言えばこんな風です。

宗教って、一体何なのでしょう?
宗教って、ぼくたちに何をしてくれるのでしょう?
ぼくたちは宗教に、何を望んでいるのでしょう?
(・・・と、成り行き上書きましたが、特に知りたいわけでもありません。笑)
by song4u (2012-09-02 17:10) 

NO14Ruggerman

多くの日本人が大晦日に除夜の鐘をつき、
元旦に初詣をする。(更に言えばその1週間前に
クリスマスケーキを食べる)
自分もそうですが、それでいいのではないかと思います。
↑私も宗教は本人を満足にさせる反面他人には摩擦を
生じさせるものだと考えます。
by NO14Ruggerman (2012-09-02 22:19) 

いであ

song4uさん、いつもコメントありがとうございます!
(song4uは僕の3つ下かな。僕は26年生まれです。(笑))

宗教と歴史は僕らが特に勉強しなくてはならない事の一つだと思います。
外国に行き、彼らとちょっとつこんだ話をすると多くの日本人は宗教と歴史について
自らの考えを言えない事に気づきます。
僕もアフガンに行ったとき、そうでした。
http://idea522.blog.so-net.ne.jp/2012-08-23
それ以来、出来るだけ「自分にとっての宗教とは?」と問いかけてきました。
そして自分自身の問いかけにやっと最近答えられるようになってきました。

song4uさんはまだ座禅をされた事ないようです。
僕は去年初めて太陽寺で座禅してから、都内で禅寺を探してずいぶん通いました。
座禅 内的世界と外的世界
http://idea522.blog.so-net.ne.jp/2011-10-10

仏教徒として、また自分自身のいろいろな考えたかたをまとまるのにも
ぜひ、禅寺で座禅される事をお勧めします。
そこで何かを得ようというのではありません。何も得なくていいのと思います。
感じて、そしてその考えを言葉なり文字にしてみてください。
その繰り返しのような気がします。
楽しみにしています!(笑)

by いであ (2012-09-03 07:34) 

いであ

NO14Ruggerman さん、コメントありがとうございます!

僕は、問題は日本人の思考停止だと思います。
何も考えない。
考えないでクリスマスを祝い、神社に行き、お寺にお参りをします。
軍隊の事も考えない。憲法の事も考えない。
歴史についても深く考えない。

政府に弱腰だ!っと言ってる場合ではないと思うのです。
日本中が思考停止状態なのだと思います。

クリスマスを祝い、神社に行き、お寺にお参っていいのです。
それを「どうしてだ」と答えられるかどうかだと思うのです。
すいません。ちょっとくどくなりました。お許しください。

by いであ (2012-09-03 07:39) 

kirigakiri

友人に紹介されて、この本を読もうかなと思ってる。
日本中無宗教の平和な日本に在って、彼も思いっきりの無神論者と思っていたところが…仏教徒とある。
私も、神道は八百万であるから良いと思う、木にも、石にも〆縄を張れば神様だ。そいうい意味では一番原始的な宗教なのかなと思う。
でも…やはり読んでみないと何も言えないね。
アマゾン直行します(笑)ありがとう!!参考になりました。
by kirigakiri (2012-12-19 22:37) 

いであ

kirigakiri さん、コメントありがとうございます。
最近年のせいか、クリスマスなど西洋の儀式には何かと違和感を感じてます。
昔は、世間同様にクリスマスだ、ハロウィンだと騒いでたのですが…(笑)

またお話お聞かせください。

by いであ (2012-12-20 07:43) 

たまちゃん

わが国での仏教という宗教をイメージするとき、日本的なアニミズムとの関係がどうしても問題になってくる。

仏像や仏壇に拝んだり、本来的に魂は持たないような自然物にまで、成仏の可能性がある。

本来清浄な仏性が宿るとするのが日本仏教です。

これが仏教の本来のすがたであるとさえ言われている。


しかし、元来インド仏教にはアニミズム的発想はありません。

一般の人々は肉体が死んだら霊魂が残ると考えない人でも、60年何がしかの人生の間には、少なくとも期間には、我と呼べるような不変な存在がある、というふうに考えがちなんです。
しかし仏教にはそのような考えは錯覚であり、思い込みであると本来の仏教は教えています。

ちなみに当たりの前のことですが、仏陀は神様ではなく、覚者です。

仏陀は天の存在を認めてはいますが、ただ単に人間よりは優れた存在だと考えているだけで、崇拝しろとは教えていません。

私は本来釈迦が説いた仏教は宗教ではないと考えています。


日本仏教は仏教にあらず。
by たまちゃん (2013-01-28 22:59) 

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